頭痛診療のバイブル!おすすめ書籍10選【2025年版】
はじめに
「頭痛診療を本格的に学びたいけど、どの本から読めばいいんだろう?」
「専門医試験の対策に、本当に役立つ問題集はどれ?」
頭痛診療の奥深さに触れるほど、こうした疑問を持つ先生方は多いのではないでしょうか。適切な書籍は、私たちの知識を体系化し、日々の臨床における羅針盤となってくれます。
そこで今回は、頭痛専門医を目指す私が、数ある書籍の中から「これは必携だ」と断言できる10冊を厳選してご紹介します。
専門医試験のバイブルから、実臨床ですぐに活かせる名著まで、刊行年やISBNといった正確な情報とともにお届けします。
この記事を読めば、先生のレベルと目的に合った最適な一冊が必ず見つかるはずです。
まずは必携の三種の神器(ICHD-3/GL2021/過去問)
何から手をつけるべきか迷ったら、まずはこの3冊を揃えてください。
診断基準・治療指針・試験対策の根幹をなす、まさに「三種の神器」です。
1. 国際頭痛分類 第3版(ICHD-3)日本語版
[辞書向き/全医師向け]
- 特徴: すべての頭痛診療の基盤となる診断基準です。正確な診断なくして適切な治療はありえません。本書を手元に置き、常に参照する習慣をつけることが専門医への第一歩です。「この患者さんの頭痛は、どの
codingに該当するのか?」を常に意識することで、診断精度が飛躍的に向上します。 - 書籍情報:
- 出版社: 医学書院 (2018/11/1)
- ISBN: 978-4-260-03686-3
- 備考: 学会サイトでPDF版も閲覧可能ですが、書籍として手元にあると一覧性・検索性に優れ、非常に便利です。
2. 頭痛の診療ガイドライン2021
[辞書向き/全医師向け]
- 特徴: 日本神経学会・日本頭痛学会・日本神経治療学会が監修した、国内の標準的治療指針。一次性頭痛から二次性頭痛まで、クリニカルクエスチョン(CQ)形式で推奨治療が分かりやすくまとめられています。日常診療の疑問点は、まずこのガイドラインで確認するのが基本です。
- 書籍情報:
- 出版社: 医学書院 (2021/10/15)
- ISBN: 978-4-260-04535-3
- 備考: 学会公式サイトでPDFが公開されており、こちらをブックマークしておくと外出先でも確認できます。
3. 頭痛専門医試験 問題・解説集 第2版
[専門医を目指す人向け/試験対策]
- 特徴: 頭痛専門医 試験を目指すなら、避けては通れない唯一無二の公式問題集です。2024年までの過去問から良問266題が精選されており、出題傾向と求められる知識レベルを把握するために必須。解説も詳細で、周辺知識の整理にも役立ちます。2025年3月に待望の第2版が出ました。
- 書籍情報:
- 出版社: 中山書店 (2025/3/11)
- ISBN: 978-4-521-75122-1
- ページ数: 312頁
- 販売サイト: Amazon.co.jp (中山書店のHPがシステム障害のため)
実臨床と試験対策に効く7冊(小児・片頭痛特化も)
三種の神器で基礎を固めたら、次はより実践的な知識を深めるための7冊です。
ご自身の興味やキャリアプランに合わせて選んでみてください。
4. 頭痛治療薬の考え方,使い方 改訂3版
[専攻医向け/専門医向け]
- 特徴: 薬物療法に特化した一冊。トリプタン製剤の使い分けから、CGRP関連薬、ラスミジタン、ゲパント系といった最新の頭痛 治療薬まで網羅。薬理作用の背景から具体的な処方例まで解説されており、治療の引き出しを増やしたい先生に最適です。改訂3版で最新情報にアップデートされています。
- 書籍情報:
- 編著: 竹島 多賀夫
- 出版社: 中外医学社 (2024/2)
- ページ数: 410頁
- 出版社サイト: chugaiigaku.jp
5. 改訂2版 ねころんで読める頭痛学 診断と治療
[初学者向け/専攻医向け]
- 特徴: タイトルの通り、頭痛診療の全体像を平易な言葉で学べる入門書。イラストや図が豊富で、初学者がつまずきやすいポイントを丁寧に解説してくれます。ICHD-3に準拠しており、知識の整理に最適。これから頭痛診療を始める研修医の先生の最初の一冊におすすめです。
- 書籍情報:
- 著者: 間中 信也
- 出版社: メディカ出版 (2021/10/20)
- ページ数: 232頁
- 出版社サイト: store.medica.co.jp
6. ジェネラリストのための頭痛診療マスター
[初学者向け/専攻医向け]
- 特徴: 非専門医(ジェネラリスト)向けに、commonな頭痛から見逃してはいけない二次性頭痛まで、実践的な診療ノウハウを凝縮。「頭痛の診療ガイドライン2021」準拠で、プライマリ・ケアの現場で明日からすぐ使える知識が満載です。
- 書籍情報:
- 出版社: 日本医事新報社 (2022/10/25)
- ページ数: 216頁 (電子版付)
- 出版社サイト: jmedj.co.jp
7. 片頭痛の診かた ― 一歩進んだ片頭痛診療をめざして
[専攻医向け/専門医向け]
- 特徴: 片頭痛に特化した、より深く学びたい先生向けの書籍。診断のピットフォールから最新の治療戦略、患者さんへの説明のコツまで、専門家ならではの視点で解説されています。片頭痛診療の質をもう一段階レベルアップさせたい先生に。
- 書籍情報:
- 著者: 柴田 護, 清水 利彦
- 出版社: 日本医事新報社 (2023/6)
- 出版社サイト: jmedj.co.jp
8. この1冊で極める 頭痛の診断学
[専攻医向け/専門医向け]
- 特徴: 鑑別診断にフォーカスしたユニークな一冊。症候から診断への思考プロセスを徹底的に鍛えることができます。「なぜこの所見からこの疾患を疑うのか」が論理的に解説されており、診断力に磨きをかけたい先生に強くおすすめします。
- 書籍情報:
- 著者: 柴田 靖
- 出版社: 文光堂 (2020/3/18)
- ISBN: 978-4-8306-1028-8
- ページ数: 184頁
- 出版社サイト: bunkodo.co.jp
9. 小児・思春期の頭痛の診かた(改訂2版)
[専門医向け/小児科医向け]
- 特徴: 大人とは異なるアプローチが求められる小児の頭痛に特化した定番の本。起立性調節障害との関連や、心理社会的背景への配慮など、小児ならではの診療ポイントが詰まっています。**「改訂2版」**として内容もアップデートされており、小児の患者さんを診る機会のある先生は必読です。
- 書籍情報:
- 監修: 藤田 光江
- 出版社: 南山堂 (2022/2)
- ISBN: 978-4-5252-8282-0
- ページ数: 271頁
- 出版社サイト: nanzando.com
10. 頭痛診療が劇的に変わる!〜すぐに活かせるエキスパートの問診・診断・処方の考え方
- [専攻医向け/専門医向け]
- 特徴: 2025年1月に出版された最新の書籍。若手エキスパートの先生方が、問診から処方に至るまでの思考プロセスを惜しみなく開示しています。特に、患者さんとのコミュニケーションや、治療選択の裏側にある「考え方」を学べるのが魅力。実用性が高く、日常診療に新たな視点をもたらしてくれます。
- 書籍情報:
- 編: 松森 保彦
- 出版社: 羊土社 (2025/1/24)
- ISBN: 978-4-7581-2424-9
- ページ数: 208頁
- 出版社サイト: yodosha.co.jp
選び方のコツ(レベル別・用途別)
- 初学者・研修医の先生: まずは『ねころんで読める頭痛学』で全体像を掴み、『ジェネラリストのための頭痛診療マスター』『頭痛診療が劇的に変わる!〜すぐに活かせるエキスパートの問診・診断・処方の考え方』で実践的な対応を学ぶのがおすすめです。
- 専攻医・後期研修医の先生: 「三種の神器」を揃えた上で、興味のある分野(薬物療法、片頭痛、小児など)の専門書を1〜2冊追加すると、知識が立体的になります。特に治療薬に詳しい『頭痛治療薬の考え方,使い方』や片頭痛に特化した『片頭痛の診かた ― 一歩進んだ片頭痛診療をめざして』もおすすめです。
- 専門医試験を受験する先生: 『問題・解説集 第2版』を繰り返し解くことが最優先です。知識が曖昧な分野は『GL2021』や『ICHD-3』、各専門書に戻って確認しましょう。
よくある質問(購入前の確認ポイント)
Q1:専門医試験の過去問はどれを買えばいいですか? 最新版は?
A1:中山書店から出ている『頭痛専門医試験 問題・解説集 第2版』(2025/3/11発売)一択です。2024年までの試験内容を反映した最新版です。
Q2:ICHD-3日本語版はどこで読めますか?
A2:日本頭痛学会のサイトでPDFとして閲覧可能です。ただ、検索性や携帯性を考えると、医学書院から出版されている書籍版を手元に置くことを強くおすすめします。
Q3:小児頭痛に特化した定番の教科書はありますか?
A3:はい、南山堂の『小児・思春期の頭痛の診かた(改訂2版)』(2022/2発売)が定番です。小児診療に関わるなら必携の一冊と言えます。
(免責事項: 本記事で紹介している書籍の評価は、筆者個人の見解に基づいています。最新の価格や在庫状況は、各出版社のサイトやオンライン書店でご確認ください。)
